こんにちは。作曲家/シンガーソングライターの尾飛良幸です。
このブログは、30年以上の音楽活動を通じて気づいたことを、徒然に書いています。
今日は、「できてるのに、できてない」という話を、私の自戒の念も込めて、お話ししたいと思います。
私の話なのですが、私は中学校の時にコーラス部に入って、高校の時に合唱部に入り、同時にバンドのボーカルとしても活動をしていました。
合唱部では非常に歌の練習をしましたね。
それこそ、朝練、昼連、夜連があって、複式呼吸の練習から、声の出し方など、歌の練習としての基本は、全てやったのではないかと思います。
その後、学校を卒業し、ボーカルスクールに入って、ポップスの練習をすることになりました。
それが、私の今のポップスの歌い方の原点になっているわけなのですが、元々、歌がすごく下手だったので、うまく歌えないとずっと思っていました。
それは、今でもまだゼロではないです。
「うまく歌えないな」とずっと思う自分もありながら、今日に至っています。
二十歳過ぎたときに、複式呼吸の練習と、横隔膜を下げ続けておくという練習(これは「支え」と言います)を、非常にしました。横隔膜を下げ続けてく練習は、非常に筋力トレーニングなのです。腹筋を利用しながら、息を吸ったり、吐いたりするという、非常に苦しい練習なのです。
それを、ほぼ毎日、それこそ三年ぐらい練習しました。
息が吸えない、呼吸が足りないから、声が出ないと、とても痛感していましたので、非常に熱心に練習したのを覚えています。
そして、その時に身につけた筋力や体の使い方がベースになって、今も、歌が歌えているなと、とても思います。
だから、その練習をしたことが、本当によかったと思いますし、あの当時の自分にも、今でもとても感謝しています。
練習した当時は「この練習が一体何の役に立つのか、全然わからない」と思って練習していましたが、ただ、三十代、四十代、五十代になった時に、あの時やったことがよかったと思うだろうと、信じて練習をしていました。
そういう練習を、過酷にやってきた中であっても、今でも「息がもともと吸えてない人だ」という刷り込みや思い込みがあります。
私はもう既にしっかり複式呼吸で歌えるようになったのですが、これが、「なった」と言い切れない自分がいるのです。
「複式呼吸で歌えるようになってきたかなぁ」と思っている自分もいるのです。
これは、他から見たら、「いや、あれだけ声出れば、お腹から声出てるじゃないですか」と言ってもらえると思います。
自分の中でもともとできない人だと思っているから、ずっとその思いを引きずったまま今に至っているのです。
なので、「お腹から声が出ている気がします」や、「複式呼吸で歌えるようになってきたかな」と言ってしまうのです。
もしこれが、自分でできてると、もう大丈夫と思っていたら、「私は複式呼吸で歌えます」や、「私は、きちんとした呼吸法で、声がお腹から出ている人なのです」と言い切れるのです。
これが、言い切れないということは、まだ、自分の中で「足りない」と思っている証拠なのです。
実は、この考え方が非常に色々なことに悪影響を及ぼしています。
つまり、吸えないという前提があるため、必要以上に吸ってしまうのです。吸えているのに、さらに吸ってしまうのです。
それによって、体に無理な緊張が走ります。余計な力が入るということです。なので、吸えているにもかかわらず、「まだ吸えてないのではないか」という恐怖から、余計にやってしまうということが起こっています。
それによって、歌が非常に硬い歌になったり、逆に不安定な歌になったり、力みがある歌になってしまいます。
これに気づいたのがこのコロナの間でした。
オンラインでライブを何度か開催させていただきましたが、その練習の時に、私の奥さんの藤野櫻子さんが、私の歌をチェックしてくれた時がありました。
その時に、言ってくれたのが「そんなに頑張って歌わなくていいんじゃないの」という言葉でした。
私の中では、全然頑張って歌ってる気持ちはなかったのです。
いつも通りの呼吸法、いつもどおりの発声法で歌ってるつもりでした。だから、大変驚きました。
それでは、どのぐらい力を抜いていいのか、実験をしてみようということになりました。
実際、私がどんどん力を抜いて声を出すようにしてみても、「まだ力んでる」「まだ頑張って歌ってるように聞こえる」とアドバイスをしてもらいました。
最終的に、「そのぐらいのリラックスさがいいよ」と言ってもらった力の抜き具合は、私の中でほとんど「何もしていない」と感じるぐらい、リラックスした状態でした。そのぐらいの状態で歌っても、しっかり声が出ている、同時に声の響きもしっかり豊かに出ている、という風に言ってもらいました。
つまり、自分で「できない」という前提から始まった呼吸の練習法が、ある時からやりすぎるぐらい、徹底してやるようになってしまったということなんです。
ただ、そこまで徹底して練習したからこそ、今度は「引き算」ができるようになったわけです。この「引き算」をやったことによって、今現在はかなり気持ちも体も楽に、自由な歌が歌えるようになりました。
私たちは、「自分はできていない」という前提を、トレーニングなり練習なり勉強なりで克服するよう努力します。
ただ、どこのラインで「もうこれ以上したら過ぎだ」と判断するか、ということが重要です。
一度、極端に過ぎるぐらい練習したり、勉強してみることは、私は非常に重要だと考えています。是非、そこまでやっていただきたいと思っています。
そうすると、次は「引き算」だけになり、非常に楽になります。
ただ、自分がどこまでやったら良いのか、合格ラインを超えているのか、良いと納得できる状態になっているか、というのは、自分でなかなか分からないものです。徹底的に練習をしていくと同時に、ある地点で「もう自分はできている」と、自分自身にしっかりと言って示して、納得させる行為も非常に重要な行為だと思います。
もし今、あなたが「ずっと努力してきて、色々とやってみてはいるけれど、なかなかできない、うまくいかない」と感じているなら、それはもしかしたら過ぎているかもしれません。
例えば、自分でお仕事をされている方で、なかなか売上が上がらないという方、実際には、とても勉強されていると思います。
様々なことにチャレンジしていると思います。ただ、なかなかうまくいかない、結果が出ない方もいるでしょう。
これは、私も同じです!><
しかし、周りを見てみると、そんなに頑張らなくてもお仕事がうまく回っている方がいることに気がつきます。
「なぜあの人は軽々と仕事がうまくいっているのか」と不思議に思うかもしれませんが、それは程よい具合でお仕事をされているからだと思います。
一生懸命努力することは非常に重要ですが、過ぎていることに気づかず、「もっと、もっと頑張らなければ」と力んでしまうと、できなくなる可能性があると私は考えています。
これは、人間関係においても、自分の人生のやりたいことにおいても、全てのことに共通する考え方だと思います。
私は、人生の大切なことは、すべて歌から教えてもらったと実感しており、この考えもまた、歌から教えてもらったことに、深く感謝しています。
現在、世界は色々と先行きが見えない状態が続いていると言われていますが、その状態をどうにか良くしようと、身も心も削って頑張っている方がたくさんいらっしゃいます。
でも、もしかしたらやり過ぎているかもしれません。もっと力を抜いて、「もうできている」にもかかわらず、「できていない」という妄想や幻想から抜け出し、「私はすでにできているから大丈夫」と思ったら、もしかしたら、もっと明るい未来が目の前にあることに気付くかもしれませんね。
というわけで、今日は「できてるのに、できてない」というテーマで、お話させていただきました。
今日もあなたの1日が素晴らしい日になりますように、お祈りしています。
楽しい音楽ライフをお過ごしくださいね。
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