「この人好き!」「この人嫌い!!」という感覚は、人間ですから誰にでもありますよね。
相性や、生活習慣の違いなどもあります。
同じ日本人だけでなく、海外の方となると、その国の文化も含めての相性もあったりします。
自分から見て「好き嫌い」の感覚があるのと同じように、人から見て自分に対して「好き嫌い」も当然あります。
自分が人から「嫌われてるかも」と不安になって、過剰に人目を気にして、ストレスになるひとも、多いのではないでしょうか。
私が30年間、シンガーソングライターのレッスンをしてきた中で、生徒さんに対し「好き嫌い」を持っていては、その生徒さんの才能を引き出すことはできません。
なので、今では相手に対して「好き嫌い」の感情は持たなくなりました。
今回はその方法を少し書いてみたいと思います。
ことのきっかけは、私が若い頃レッスンをしていて、元々私があまり得意でないジャンルの音楽を、生徒さんが持ってきた時でした。
私が好きなジャンルとは、全く対照的な位置にあるジャンルだったので、私はそのジャンルだけでなくその生徒さん自身にも、ある種の嫌悪感を感じていました。
なので最初は「嫌だなあ。。」と思いながら、それを相手に見せないように気をつけて、レッスンをしていました。
でも、やっぱりそれでは、より良いレッスンになりません。
そこで、まるでそのジャンルのことを知っているかのような顔して「この歌いいよねえ」なんて、話を合わせてみました。もちろん自分の心では、真逆な感情が働いているわけです。
そしたら、どんどん自分が苦しくなっていくわけです。
さらに、生徒さんがどんどん辞めていくという、最悪の連鎖が始まってしまいました。
そこで、勇気を持って、意を決して、知ったかぶりをやめて、生徒さんに質問することにしました。
「この音楽/ジャンルの、どこが『好き』って感じてるの?」
この時一番自分が怖かったのは
「え!先生、わからないのですか?!」
という言葉が返ってくることでした。
『先生のくせに、わからないのですか』
まだ、先生になって数年しか経ってない、あの頃の私は、その言葉にひどく怯えていたんですね。
しかし、勇気を持って質問したら、意外なリアクションが返ってきて驚きました。
どの生徒さんも、嬉々としてその「好きなところ」を、説明し始めたんです。
中には、お勧め曲をテープにまとめて、持ってきてくれる人もいました。
私も一生懸命その曲をきき、生徒さんが感じている「良い部分」を理解しようとしました。
そしたらある時、「なるほど!この生徒さんは私とは違う、この部分を聞いてたんだ!!!」と、すごく腑に落ちる時がやってきたんです。
そしてそれを、生徒さんに伝えると、「先生が自分をしっかり理解してくれた!!!」と生徒さんがすごく喜んでくれて、その後のレッスンは格段に上達のスピードがアップしました。
『この感覚が、相手に心を開き、相手を理解し、ともに歩むというものなんだ!』
と感じた瞬間でした。
人にはそれぞれ『良い点』『改善点』があります。
それは私自身も同じです。
「良い点」は、そのまま「いいですね!」と受け入れればいいですよね。
ポイントは『改善点』の方です。
『改善点』は『ダメな部分』とは意味が違います。
私的には『改善点』は『不自然な部分』です。
わざわざ不自然なことをするには、その人なりの理由があります。
その理由を、こちら側で「知ったかぶって、勝手に推測」するのではなく、勇気を持って質問することが大事なポイントだと思います。
その時に重要なのは、『改善点』だけではなく、『良い点』も理解した上で、質問するということですね。
練習としては、相手や物事を『良い点』『改善点』で3つづつ書き出すようにするといいですね。
私も相当その練習をしたので、それによってかなり物事を「公平」に、捉えられるようになりました。
あの若い頃に私の無知な質問に、一生懸命に応えてくれた生徒の方々には、今でもとても感謝しています。
みんな元気かな〜。
いつかまた会えたらいいですね。
レッスンにご興味ある方は、ぜひ体験レッスンにお越しくださいね。
尾飛良幸の
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